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財務の仕事のやりがいとは?日中の違いを吸収する、MBPジャパンの大蔵大臣

MBPジャパンの財務部長を務める呉 娜(ご な)は、会社の財務業務を担当しています。 在籍期間の長い呉は、IPOやM&Aなど会社が大きく変化するタイミングを見てきました。 日中企業であるMBPジャパンならではの、財務に関するおもしろさや苦労を語ります。

日本では中小企業、中国では大手企業の一部

MBPジャパン財務部の部長を務める呉 娜(ご な)は、2020年の8月で入社からちょうど8年が経ちます。 入社当時から担当しているのは会社全体の財務の仕事です。

呉 「具体的な仕事内容のひとつとして、請求書に基づいて会社の台帳を記帳します。これが終わらないと1か月のスタートができません」

営業からはお客様に対しての請求書、部門長からはパートナー社員の請求書、人事からは社員の給与データ、その他にはオフィスの賃料など。 集めるべきデータは、部門を横断し多岐にわたります。

呉 「月初めはとても厳しいスケジュールですが、各担当者に協力していただくことで、清算しなければならないデータをすばやく集められるようになってきました」

集計した請求データ、銀行通帳データ、小口データなどは、親会社である中国企業に報告します。これは、日中企業であるMBPジャパンならではの仕事です。

呉 「日本と中国では、会計の基準が微妙に異なることがあるんです。

なので、中国に報告する際にはデータ全体を入力しなおさなければいけません。 使用するソフトも日本と中国で全く異なるので、そこは日中で事業を展開するMBPならではの大変さかもしれないですね」

MBPジャパンだけでなく、グループ企業で日本法人の3社(株式会社TIZA、TIZAシステム株式会社、MBP SMARTEC株式会社)のデータも取りまとめて中国に報告しています。

呉 「MBPジャパンは日本では中小企業の一つとして認識されていますが、中国では大手企業の一部として対応されているんです。

親会社であるTIZAが中国で上場しているので、財務状況を厳しくチェックされます。MBPジャパンは上場企業ではありませんが、四半期ごとに決算データのチェックを行うのも私の仕事です」

報告データは中国の株主に公開するため、曖昧なことは書けません。 根拠がわからないと説明できないため、予算などについては部門長と打ち合わせをし、どんなことをするかを含めて呉が取りまとめています。

日本の大学院に進学し、税理士法人へ就職

日本で仕事をしている呉ですが、もともとは中国 遼寧省の出身。中国の東北に位置する港湾都市で、安くておいしい海鮮料理が有名です。

呉 「大学でも会計学を専攻していました。 もともと文系で、将来に向けて何を勉強するべきか迷っていたときに、先生から『会計の分野に進んでみてはどうか』とアドバイスをいただいことが大きいですね。

語学は性格的にあわないので、数字の勉強が向いていると思われたんだと思います」

呉は大学卒業まで、遼寧省の都市である大連で過ごしました。

来日したのは2004年。子育てが一段落し、何の仕事をするか悩んでいた頃、夫の転勤により急遽日本で生活することになったのです。

呉 「日本語が一切わからない状態だったので、来日後2年間、日本語学校に通いました。

日本語学校を卒業した後もまだまだ勉強をしたいと思ったので、そのまま日本の大学院に進学することに決めたんです」

日本の大学院でも、専攻したのは会計です。学びたての日本語で専門的な授業を受けることは、想像以上に大変だったと話します。

呉 「予習して、授業を受けて、その後の復習と、学校の勉強以外のことをする余裕はありませんでした。当時は子どももいたので、家族にはたくさん助けてもらいましたね」

大学院を卒業し、就職したのは社員数60人ほどの小さな税理士法人。ここが呉にとって日本で初めての就職先です。

呉 「振り返ってみると、とても厳しい会社だったと思います。

当時は朝7時から夜10時まで勤務していました。土曜日も基本的に出勤で、土曜日に休みがあったのはたった1日だけです。 土曜日は法定の休暇ではないので、休めないことがあるということを学びました(笑)

本当に大変でしたが、社会人としてのマナーなども含めて0から学ばせてもらえたことは、私にとって良い経験になったと思います。

また、この会社には社労士なども在籍していたので、会計以外の分野の仕事についても勉強することができました」

呉は、この会社ではおよそ3年勤務しました。 激務の中で呉は、社会人としての基礎から、企業会計に欠かせない記帳や申告の業務を身につけていったのです。

家族との時間をもっと大切にしたい

休日の日曜日、呉は家族のアルバムを見てあることに気づきます。

呉 「当時は忙しくて休みが取れず、入学式など子どものイベントにほとんど参加できていなかったんです。

アルバムを見て、大事なイベントの写真にはいつも私が写っていないことに気が付きました」

あまりにも学校との関わりがなかったため、「お母さんがいたの?」と先生に驚かれたほどだったといいます。

家族との時間を増やしたいと思った呉は、ライフワークバランスの取れる会社への転職を決意。そして、MBPジャパンの募集を見つけます。

呉 「税理士法人ではメーカーや飲食店など幅広い業種のお客様を担当し、それぞれの会社の申告を行います。

そうではなくて、1社だけの財務の仕事をするのもシンプルで良いかなと思ったんです」

そして2012年、MBPジャパンに入社しました。

入社当時のMBPジャパンは、まだ管理部門が成熟していなかった時期です。 そのため呉は、経費のチェックや給料の計算といった、現在では他部門が行っている業務まで1人で担当していました。

呉 「2012年は台湾株式市場へ上場する予定だったので、IPO の準備も担当しました。財務処理だけでなく、内部統制なども含めてです。

例えば、いままで会社のお金に関する報告は口頭で済ませていましたが、請求書を作成するルールをつくることもしました。

結局上場はしませんでしたが、IPOをきっかけに内部統制が進んだことは会社にとって良かったと思います」

MBPジャパンで8年間勤務した中で一番大変だったと話すのは、2015年に行われたM&Aの準備期間。 この年、MBPジャパンは中国の天澤(TIZA)グループに傘下入りし、会社の組織編成が大きく変わりました。

最も大変だった中国大手企業への傘下入り

M&Aにともない中国から派遣される監査担当者は、日本企業については知見がありません。 そのため、会社の情報に加えて日中の違いについても1から説明しなければなりませんでした。

呉 「中国の税理士、公認会計士、証券会社の方など、さまざまな役割の方と毎日打ち合わせをしました。 質問に答えたら次の人が来て…というのを一日中繰り返すんです。

日本と中国の会計士さんの通訳など、なんでもやっていました」

徐々に日中の会計士、税理士とスムーズにコミュニケーションが取れるようになり、成長を実感できた時期だと話します。

呉 「一時的に忙しい時期はあったものの、現在はライフワークバランスが整っておりとても働きやすい環境です。

それに加えて、日本と中国の財務の違いを学べたこともMBPジャパンに入社したからこそのメリットだと感じます。

中国は日本の年末年始が休みではないので、年明けでもいつも通りの締め切りで仕事があるなど、日中の違いは良いことばかりではないですけどね(笑)」

財務は会社の状況が誰よりもわかる立場です。会社の成長は、自分の成長のように嬉しく感じられると話します。

呉 「少しでも会社の役に立てるように、もっと本格的に会計の勉強をしていきたいですね。 中国の会計基準も覚えてきましたが、勘定科目については突合せが難しく、翻訳してと言われてもすぐは出てこないので。

仕事を頑張る一方で、娘が今年大学受験なので、家庭にも気を配らなければいけない時期です。 今はオンライン授業がメインなので大変なことも多いですが、お母さんとして精一杯サポートしていきたいです」

財務の仕事は担当者だけで完結する仕事ではありません。各部門長、社員、グループ企業、そして監査などの外部組織まで、会社にかかわる全員の協力が必要だと話す呉。

これからも、国、会社、部門を越えてメンバーとの協力を大切にしながら、MBPジャパンは成長を続けていきます。

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