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計画外の来日、未経験からIT企業へ──成功の秘訣は何事からも学ぶこと

MBPジャパンDX推進部事業部 プロダクト開発部のシニアマネージャーを務める徐 継文(じょ けいぶん)。 中国で船舶デザインを研究していた徐は、思いがけず日本のIT企業で働くことになりました。 自身のこれまでのキャリアと、仕事に対する考え方について語ります。

「遊ぶ=勉強する」ことだった子ども時代

MBPジャパンDX推進部事業部 プロダクト開発部のシニアマネージャーを務める徐は、中国 江西省の出身です。 江西省は三国時代に孫権の呉に属し、政治家や文人に数多くの著名人を輩出した地域です。

徐 「私が子どものころの中国は部活がなかったので、学生はみんな勉強ばかりしていました。 私は数学が好きで、父と2時間をかけて省都に行き、良い数学教材を買ってもらったことを覚えています。

仲良しの友達とは、好きな中国の古代詩をノートにメモして暗唱する遊びをしました。 読書も好きで、『風と共に去りぬ』、『高慢と偏見』、『巌窟王』などいろんな世界の名作を読みました」

勉強が好きで、将来は科学者になりたいと考えていた徐。

大学院では船舶海洋構造デザイン製造分野の研究を行います。 ある海域の波高を予測して船舶を流体シミュレーションし、極端気候でも船舶と海洋構造物が壊れないようなデザインを設計する研究です。

徐 「世界の7割は海洋ですが、人間が知らない未知の領域がまだ多く存在します。 船舶は海洋に探検に行くツールです。少しでも良いツールをつくることで、人間と海洋の距離を近づけたいと考えていました」

毎日英語の論文を読み、自身も英語の論文を5編発表。国際会議に参加して英語でプレゼンをした経験もあります。 TOEICのスコアが895と英語が堪能である徐は、この研究を通して英語を身に着けました。

徐 「大学院を卒業した後は、大学に就職したいと考えていました。学生に授業をしながら、この研究を続けたかったんです。

しかし、そのころ夫が仕事の都合で日本に行く機会が増えていきました。 始めは短期の出張予定でしたが、期間がどんどん伸びていき、最終的には日本で生活するようになりました。 私は大学院の夏休みや春休みを利用して、夫に会うために日本へ遊びにいっていましたね」

長期休みに日本での生活を経験し、夫と一緒に日本で生活しても良いと考えた徐は、2010年に来日することを決めました。

計画外の来日、日本語はまったく話せなかった

日本で生活することをまったく想定していなかった徐でしたが、日本に来てみたら意外にもすぐ慣れたと言います。

徐 「日本に来たばかりのころは日本語がまったくわからなかったんです。 英語を使えば生活上問題ないかなと思っていたのですが、実際はそうではなく、日本語がわからないとできないことが多くありました。

そのため0から日本語を猛勉強し、2年後にJLPT(日本語能力試験)1級に合格しました。 でも日本文化の空気を読む、微妙な言い回しには結構苦労していて、この辺はまだまだ勉強中です」

日本語がすこし上手になったころ、とあるIT企業がIT未経験の社員を募集しているのを見つけます。 徐はこれまでIT業界での仕事経験はなかったものの、以前からプログラミングに興味がありました。

徐 「大学時代にプログラミングが得意な友人がいました。 新しいアイデアを思いついたときにいつも楽しそうだったので、それを見てわたしもITに興味を持つようになったんです

多くの仕事は機械や材料などを使ってものを生産しますが、プログラミングはコンピューター、インターネットさえあればどこでも仕事ができます。 そしてさまざまなことが実現できるのも、ITならではのおもしろさですよね」

徐はこの企業に応募し、IT企業で働くことを決意。 この会社でシステム開発の流れ、テクニカルスキル、データベース設計、開発手法など基礎的なことを身につけました。

徐 「ITの基礎と同時に、プロジェクトを成功させる秘訣も学びました。

プロジェクトの成功には、技術だけでなく仕事に対しての姿勢も重要です。 お客様がほしいものは何か、どのように業務を回したら良いか、お客様の立場をよく考えた上で設計することを大切にしています」

IT業界で成長する中、もっと上流工程の仕事も経験したいと思い始めた徐。 上流から開発の全フローが経験できることと、ライフワークのバランスが取りやすさが決め手となり、2016年にMBPジャパンに入社します。

大規模プロジェクトのチームリーダーに

徐はMBPジャパンに入社後しばらくして、社内でもっとも大規模なプロジェクトのチームリーダーに抜擢されました。 2017年から2020年5月の現在にかけて担当しているのが、管理会計システムの新規開発プロジェクトです。

これまでお客様や経営に関する数値を担当者が手作業で集計し、帳票を作成していました。 そのため、数字のもとをさかのぼることが難しく、データの精度や作業の属人化という問題を抱えていたそうです。

その問題を解決するために、MBPジャパンで業務プロセスのシステム化を行いました。 これにより作業工数はゼロとなったうえ、ヒューマンエラーが発生する心配もなくなりました。

徐 「このプロジェクトに参加してもう2年以上が経ちます。

NTTデータ イントラマート社の製品であるintra-martを基盤にして開発しているプロジェクトなのですが、入社当時はintra-martの経験が全くなく、非常に苦労しました。 足りない知識を勉強しながらプロジェクトを進めていましたね」

徐はこのプロジェクトで“リリース後の障害ゼロ”を目標に設定。 テスト観点をしっかり整理し、その後何度もテスト、リハーサルを行いました。どんな小さいバグを見つけても嬉しかったと話します。

徐の働きはすぐに評価され、その後の追加開発ではサブプロジェクトマネージャーの役割になります。

徐 「新しいシステムが完成する前に、どの機能が必要なのかはお客様も100%把握できません。 なので、一部の機能は本開発に含めていないんです。

新システムを使いこなしながらイメージをつけて、必要な機能やほかのシステムを移植する、というスタイルで追加開発を進めています」

機能を少しずつ追加していく開発手法を選択したほかに、今回追加開発を依頼いただいた背景には、お客様との信頼関係があったと話します。

徐 「お客様から信頼を得るには、第一に会社の開発力が強くなければなりません。でももっと重要なのは誠実さだと考えています。

お客様の要望を真剣に考えること。もっと効率的に、使いやすいような方針を考えて対応する。 十分検討した上でもし対応ができない場合でも、お客様が納得できるように説明する。

これからも長くおつき合いいただけるよう、チーム一丸となってがんばっていきたいですね」

他人の意見や考え方を大切にしたい

徐 「論語に『見賢思齊焉、見不賢而内自省也』という言葉があります。

優れた人を見たら同じようにありたいと思い、劣った人を見たら自分もこうではないかと反省する、という意味の言葉です。

常に他人の長所を感じて、自分ができる範囲で改善する。他人の短所を見たら、自分も反省して訂正する。そうすることで、自分を成長させていくことができます」

この考え方は、メンバーとの良いチームワークの形成にもつながったと言います。 他の人の長所をよく見て、違う観点も尊重することで、メンバーがわからないことやできないことを教えてくれるようになり、その結果プロジェクトがうまく進むようになります。

優しく人の意見を尊重する徐の人柄は、チームの雰囲気良く仕事が進められると評判です。

徐 「いま会社が大きく発展していく中で、目標や理念が変わっていくこともあります。 このとき理念に賛同して残った社員は、一緒に同じ目標に向かって仕事をしていくことができるので、変化は会社にとっても良いことだと感じています。

会社がDXに変化しているので、今後は大好きな数学が生かせるAI分野の仕事にも挑戦していきたいですね。 AI技術が進むとどんな世界になるか、想像するだけでおもしろいです」

MBPジャパンでは今年度新たにDX推進事業部が設立され、今までの受注型SIから事業が大きく変化しようとしている最中です。

──見賢思齊焉、見不賢而内自省也。

メンバーの長所やさまざまな意見を取り入れ、協力しながら、より良い企業を目指していきます。

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